シュークリームと世界大戦

Overseas24
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皆様こんにちは。アメリカ大好き自由の番人Oです。

昨年に引き続き、今年も新型コロナウイルスの猛威が収まる気配が中々無い為、感染拡大防止の観点から休みの日は1週間分の買い出しに行くだけで、後は基本的に自宅で過ごすようにしています。


こうした新しい生活様式を実践するさなか、昨今の技術革新のおかげで一日中自宅にいても退屈しない世の中になったと本当に実感しました。Amazon Primeで映画やドラマを見たり、実家から引っ張り出してきたWiiやPS3で遊んだり(PS5やswitchはおろか、PS4やWii uすら無い我が家…)、Kindleでダウンロードした小説を読んだり等、選択肢が本当に広がったと思います。

一方で、食料品の買い出しだけはやはりスーパーに行き、実物を見て買いたいという事で、週に1度だけは買い出しに行くようにしています。チルド食品物流という当社の業務内容的に、スーパーでは多くの荷主様からお預かりした商品を見る事が出来ます。


スーパーに来られたお客様が、当社のCrewが大切に運んだ商品を手に取って購入頂いているのを間近で見ると、胸にこみ上げてくるものがありますね。シュークリームやショートケーキ、チーズケーキにヨーグルト、エクレアやミルフィーユ、フルーツゼリー等を思わず買ってしまうのは、きっと背景に真心を込めて運んだCrewの姿が浮かぶからでしょう。


さてそんなチルドのデザートですが、日本のスーパーではよく見かける一般的な光景かと思います。今思い返せば、アメリカのスーパーにはそうしたチルドデザートは少なかったと記憶しています。小中学生時代にアメリカに住んでいたので早20年前の記憶ですが、バケツ入りのアイスクリームやA2用紙くらいありそうな大きさのケーキは印象に残っています。しかし、日本でよく見かける一人で食べる量のチルドデザートは殆ど見かけませんでした。個人的な感想ですが、それには100年ほど前のアメリカの歴史が関係しているのではないかと思います。


第一次世界大戦後の1920年代、戦勝国となったアメリカはT型フォードをベルトコンベア式の導入により大量生産し、低価格で庶民が自動車を所有できるようになりました。自動車が一般家庭でも手に入るようになるとモータリゼーションが発達。それにより自動車での移動が一般的になり、長距離を移動する事が増え、道路沿いにガソリンスタンドが整備され、ファストフード店が爆発的に拡大し、急速に大量生産・大量消費社会へ変遷発展していきました。所謂狂騒の20年代と呼ばれる時代ですね。


こうした時代の名残は工業製品だけでなく、食品にも恩恵がありました。大量に生産される食品は大幅な価格下落を実現し、人々に安価で高品質な美味しい食品を提供する事を可能にしました。食品の輸送も自動車や鉄道の発達によりスピードが飛躍的に向上し、年間を通じて新鮮な牛乳、野菜、果物等が手に入るようになり、アメリカ人の食生活を大きく変化させました。


1929年のウォール街大暴落後も、それまでに財を成した大企業は機械化や自動化、労働者の解雇により生産能力の調整を行いながら大量生産・大量消費の道を進んでいました。そして1939年、第二次世界大戦が勃発するとそれまでに培った工業製品の大量生産技術を使用し、連合国側は勝利します。ただ戦時中も大量生産が可能だったのは、機械化や自動化だけでなく、アメリカ本土が戦地にならなかった事もかなり大きな要因だと思います。


その後のアメリカは第二次世界大戦、アフリカ系アメリカ人による公民権運動、ソ連との冷戦、日本との貿易摩擦、湾岸戦争、同時多発テロ事件等まだまだ沢山の事件がありますが、これ以上はかなり長くなるので割愛します。つまりこうした歴史的な背景もあり、アメリカは長年大量生産・大量消費により発展を遂げてきました。アメリカでは日本のスーパーで見かけるような少量のチルドデザートが殆ど無いのは、こうした歴史が一つの要因ではないかと、シュークリームとエクレアを食べながらふと思うのでした。


身近な商品の見方をたまには変えてみるのも面白いですね!

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